鞭
「上がりなさい」
薄暗い拷問室の中で、私を含む男女4人が全裸で狭いステージに上がらされた。
これから選別が行われる。
拷問師のお気に入りに選ばれた者は、1人だけ鞭で打たれ皮膚を剥がされる拷問を受けるのだ。
ピエロのような顔をした拷問師は、私たちの頬を掴んで一人一人顔をじっくりと見る。
私は拷問師の人を選ぶ基準がなんとなくわかっていた。
それは何をされても泣きそうにない、強そうな人だった。
そのため、すでに涙目の私は選ばれないと確信していた。
案の定、私は選ばれなかった。
選ばれたのは筋肉質の若い男だった。
選ばれなかった三人には、拷問を見守るという試練が与えられる。
私を含む三人は椅子にロープで括り付けられた。
今回の拷問で使用される猫鞭は、鞭の一本一本に棘が沢山ついていた。
さらにその鞭は硝酸に浸してある。
手を上に上げた状態で拘束された男は、すでに失禁していた。
拷問師が鞭を振り上げ、男の背中に一発目を放つ。
パチン!と大きな音がして、背中に大きな傷がついた。
その傷へ硝酸が入り込み、みるみる背中の皮膚が焼け爛れる。
男は絶叫した。
間髪入れずに二発目、三発目と鞭が打たれ、その度に皮膚がめくれ上がって血が噴き出した。
十発入れた頃には骨が見え始めたが、なおも男は叫び続けていた。
私はその様子を、ぼーっと見ていた。
そこに伴った感情は、自分じゃなくて良かった、という安心感だけだった。