サヨナラ
好きな人がいた。
その人は私のことがとても好きだった。
遠くに住んでいたけれど、時間があればすぐに会いたがった。
それが満更でもなく、心地良かった。
ある日、いつものラインでのやり取りの中で、ふと言われた。
「俺たちのことが彼女にバレた。彼女が悲しむからもう会わないようにする」
どうやら私は二番手の女だったらしい。
頭が真っ白になった。
私は、あまり人に依存しない。
人との別れ方も知っている。
今までありがとう、楽しかった。
この一言以外に言う必要なんてないのだ。
それでも私はみっともなく膝から崩れ落ちて泣いて、どうにかならないのかと縋った。
余計な言葉を発すれば発するほど、彼の私への関心が薄れていくのが手に取るように分かった。
彼は悪びれる様子もなく、蹲る私を見下ろし、ゴメンネと言った。
後日彼から、私のあげたプレゼントをすべて返却された。
手紙、好きな映画のDVD、アニエス・ベーの腕時計。
その時も私は泣いて、せめて約束していた旅行にだけは行きたいと言うと、彼はそれを渋々承諾してくれた。
彼はあからさまに面倒臭そうな顔をしていた。
私は見ないふりをした。
計画の時点では、何より楽しみにしていた広島旅行。
それが彼との最後のデートになるのだ。
▽
ここで目が覚めました。
起きたら現実で泣いていたのにはビックリしました。
エグい夢よりエグい夢でした。
二度と見たくねーや。