モニター募集!
番組の企画です。
自殺してくれる人を募集します♫
自殺する人の家族に一千万を差し上げます!
自殺の方法は全然怖くありません。
強力な毒のカプセルを飲んで頂くだけ!
苦しまずに死ねます!
いかがですか?
というふざけた番組のモニターに、応募した覚えは全くなかったのだが、私が採用されてしまった。
マイクを持った司会が、「今から死んで頂きますが、気分はいかがでしょうか?」と私に聞いた。
「そうですね、若干緊張していますよ」
「現世にお別れする悲しさはありませんか?」
「不思議と悲しさはありません」
「あら、そうですかあ」
司会は私にカプセルを二錠渡した。
二錠一気に飲んだらすぐに死ぬらしい。
私は独房のようなところに入れられた。
「さあ、死んでください♫」
独房の鉄の扉に窓は付いていなかったので、外の様子はわからなかったが、観客がいるらしく、外は騒がしかった。
私は、この薄暗くて狭い牢屋のようなところで、たった一人で、今から死ぬんだと実感した。
きっと死んでしまったら、悲しくはないだろう。死後の世界には何もないだろうし、だったら今、死ぬ直前に悲しい気持ちになるのはおかしな話なのだ。
死ぬ前に、私が最後に感じる感情が「悲しさ」だったり「恐怖」だったりするのは、なんだか勿体ない気がした。
私は二錠、口の中に入れてすぐに水を飲んだ。
そして大切な家族が、一千万を手にして喜んでいる姿を思い浮かべた。