戦争のあとに
長かった戦争が終わり、奴隷としてこき使われていた私達民衆は、兵士たちの帰りを待ち、料理を用意したり、踊りの練習をしていた。
兵士たちは、予定よりも早く帰ってきた。
あまりにも早すぎて料理の用意が終わっていなかったため、兵士たちは全員非常に機嫌が悪く、民衆の一人を拷問して遊びだした。
生きたままナイフで肉を少しづつ削がれ、苦しそうにもがく民衆を見て私は気を失った。
目が覚めると、部屋は血まみれになっていた。
そしていままでずっと一緒にいた友達が、どこにもいないことに気がついた。
兵士たちの目を盗んで私はゆっくり地面を這う。
目の前に大きなガラスのケースがあった。
中にはホルマリン漬けになった友達が入れられていた。
左胸から顔面の皮膚が剥がされて、骨と筋肉が露出し、そこだけ人体模型のようになっている。
友達は美しかったから、ただ拷問されて殺されるんじゃなくて、このまま永久に保存されるんだな、と、なんとなくわかった。
「なんだお前、生きてたのか」
後ろから突然声をかけられた。
振り向くと兵士の一人が笑っていた。
「酷いです、こんなことするなんて」
「こんなレベルで酷いだと?」
確かに、周りにはもっと酷い殺され方をした人が沢山いるけれど……。
「じゃあ今のお前はどうなるんだ?」
え?
友達が入れられているガラスケースに、反射した自分の姿が映る。
私は、目から下の全てが無かった。
目と脳味噌だけの存在になっていた。
目が覚めました。
なかなか怖かったです。