ユメ日記

私が見た夢を綴ります

ベルトコンベア


私は何らかの罪を犯した人々と一緒に、生き地獄巡りをさせられていた。
五つくらいまわったような気がする。
二つしか覚えていないが……。

一つは、針山地獄。
針の沢山生えた山をひたすら登るというもの。
時折地雷が埋まっており、数人の手足が吹き飛んでいたが私は無事だった。

二つめは、ベルトコンベア地獄。
私は気がついたら一人で仰向けに寝かされていて、横幅は三メートルほどあったが、鼻の先から壁(つまり天井)までは僅か十センチほどしかなかった。
起き上がれない、寝返りも打てない、ほとんど身動きができない状態だった。
床はベルトコンベアになっていて、どこかへ運ばれているようだった。
程なくして、頭の方から水が流し込まれてきた。
水はすぐに天井いっぱいになって苦しかったが、何故か息はできた。

ずっとずっと、どこかへ流される。
それも結構なスピードで……。

三十分ほど流され続けて、他の生き地獄巡りをさている人が、私に追いついて流れてきた。

「ここから出たいのですが、出口は無いんですか? 私、閉所恐怖症だから今にも発狂しそう」
私が聞くと、その初老の男性は言った。

「お嬢さん、帰るところはどこ?」
「日本です」
「なら出口は、頭の方向に4000キロほど進んだ方向にある」
「え……この流れに逆らって4000キロも戻らないといけないんですか」
「一日ではつかないね。更に眠るとどんどん距離が開いていくから、眠らずに、足を止めてはいけない」
「そんな」

「ワシはもう諦めたよ。もう三十年はここにいる。最初は頑張って歩いていたさ。でも絶対に無理なんだ。二度とここからは出られない。死ぬこともできずに永遠に流され続けるんだ」

あまりの絶望に呼吸が乱れ、息が苦しくなって涙が溢れた。
溢れた涙もすぐに水に溶けてわからなくなった。
ひたすら目の前の壁(天井)をバンバンと叩いて「助けてー!」と叫んでいると、やがて目が覚めた。



目が覚めた後も布団の中だったので、夢の中かと思って非常に怖かった。
あの初老の男性は、まだ夢の中で生き地獄を彷徨っている気がする……。